2025/06/13 20:42
~あいらりん音浴CD【還エル】【全キ雫】セルフライナーノーツ 2~
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〇 アルバムについて
【還エル】
まずは2枚同時リリースのうちの一枚、『還エル』から。
こちらについては、装丁画を描いてくださった原田暁一氏の、
「癒しを超えて、なにか”還る”ような・・・」
という、あいらりん音浴会体験後のご感想のひとことが着想となり、
明確にそれを感じながら収録した事を覚えております。
──還る、とは?
この普遍的な命題のひとつを、音を介して、その時の あいらりん なりに、アプローチできたこと。
これは実に得難い体験で、なんとも言葉に言い表せません。
他ならぬ、お聴きいただく”あなた”の
『還エル』ひとときの、お供としていただければ。
そうこころより願っております。
(おりん処葛巻 りん小屋 点)
… … … … … … …
【還エル】は、おりんの音とライアの音のみで構成されています。
おりんとライアの純粋な音が、さらに深いところで会話をしているような
そんな感じを受けながら演奏しました。
まるで、宇宙空間の中を時間をさかのぼる旅をして、
まだ、何物でもない、
原初の「わたし」と「あなた」に還って、
お互いを「知る」ためにゆっくり会話をしている、
というそんなイメージです。
同じ過ちを二度と繰り返さないように、、、。
静かで穏やかな流れの中でそんな決意が込められているような気がします。
(やまざき さりな)
【全キ雫】
【全キ雫】の収録については、タイトルやテーマなどは特に意識することなく、
“いま、ここ”のエネルギーをただ感受し、音に顕す──
ある種の「音遊び」のような合奏のひとときであったように、今、思い出されます。
結果として【還エル】と比較すると、
より多様なマテリアルが彩る、カラフルなアンサンブルとなっているように、私的には感じられる一作となりました。
タイトルについては、福島 悠生氏が描いてくださった装丁画の原画を拝見したときのインスピレーションから。
”全きひとつ”より滴下し、事象として時に顕となる”全キ雫”。
そのひとつひとつが織りなすすべてが儚く尊いこの浮世。
そのすべての環にある『還エル』と対になる作品となったことに、なんとも不思議なご縁を感じつつ──
事象として滴下したこのひとしずくを通じて、
やはりひとしずくに他ならぬ”あなた”とのご縁がつながることを、
こころより喜ばしく感じております。
(おりん処葛巻 りん小屋 点)
… … … … … … …
このアルバムは、「まったきしずく」と読みます。
意味は、完全なるしずく、というようなことでしょうか。
点さんの紡ぐ言葉でいえば、
「”全きひとつ”より滴下し、事象として時に顕となる”全キ雫”。
そのひとつひとつが織りなすすべてが儚く尊いこの浮世。」。
完全なひとつから生まれたものは、
小さく、はかなく、力なく、
そのときそのときに、どんな感情に揺れようが、それさえも、また、完全なものである、
というような私の感覚は、
点さんの言葉とリンクしているようにも思うのですが、どうでしょうか。
曲自体は、
おりんとライアの音のほかに、
ミズカンリンバ・ チャイ ム・タノシンバルというような「鳴り物」の音が入ります。
音に華やぎが出るように、
華やかさを意識してライアを奏でてみましたが、
「光」あるところには「影」あり、というように、
同時に深みを感じさせる音が、自然と生まれたようにも感じます。
【還エル】は原初に戻る、というイメージでしたが、
こちらの【全キ雫】は「人の営み」という感覚を感じながらの演奏となりました。
それぞれの人の、それぞれの思いがある世界。
その中で、時に楽しく、時に落ち込むこともありながら、
それでも自然はかわらずそこにあり、
一生が水のように流れていく、そんなイメージでした。
奏でながら、人の一生を思い浮かべていました。
この世界に水とともに生まれて、
透明感のある豊かな子供時代を過ごし、
そして青年となり、緑豊かな自然の中で農作業をし、
伴侶と出逢い結婚をして
そうして、自分の元に赤ちゃんがやってくる。
そうして、そうして、
年月を重ねて、歳をとり、最初のいたところに還っていく。
「人の営み」と言いながらも、
ゆったりとした、包容力のあるような、
そんな世界は、現代のわたしたちとは違う世界なのかもしれません。
音源が出来上がって、このアルバムへの感想をいただくと
「水を感じる」
という方が多いのにとても驚きました。
福島悠生さんの装丁画が、
本当に私たちの奏でた音の世界を
とても素晴らしく現わしてくださっています。
(やまざき さりな)

